- 作者: 山下和美
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/09/28
- メディア: Kindle版
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シニカルを暴き、隠された欲望を挑発し・・・でも、愛を信じ偶然を叶え、救われたなかった人の心を掬い続ける。
奇跡の漫画だと思う。
高校の頃から掃天航路が18年間守り続けてきた自分的漫画トップの座をついに奪還した一作。出会いは突然で不思議。ツイッターの誰かの紹介で知って(書いてた人誰だっけ・・・)1冊1円で買った漫画だから。
不思議に出会えたら運命と感じられるとも思うが、1円という値踏みに現代への猜疑心も等しく積もる。
4巻の「由利香」という話がとにかく強く印象に残った。この現代、この社会の中で誰かがこの題材を、この角度から書かなければいけなかったと思う。絶対に書かれなければならなかった。
山で外界と隔てられた田舎に暮らす由利香は平凡な毎日を幸せに感じつつも、自分以外の人は想像の産物なんじゃないかと思春期の少女らしく思ってしまったりもする。そんな中、地自分を探しに来たという不思議な少年、転校生と出会う。
由利香はやはり他人を存在しないものなんじゃないかという錯覚に捉われ続け、ある時から血みどろの人の死体の幻を度々目にするようになる。
少年は由利香に君はここにいるようにと制するが・・・