グリーングリーン

よく行くヒトカラの店員の一人がとてつもなくカワイイ
いや、かわいいというよりキレイだ


「死ぬほど」という表現があるが
実際、殺しにかかって来てる美貌で
おれは毎週死ぬかと思うし
もし殺される機会があるなら是非お願いしたい


だが、彼女はその行き届いた美しさとは裏腹に
とんでもなく接客が悪い、常軌を逸してる
レジを済ませたお客様がまだ財布にお釣りをしまってる段階で
隣にいる違う店員に「たりーな早く帰りてーわ」とか言ってる
カワイぃ・・・いや、実に不届きな輩だ



天は人の上に人を作ると諭吉先生は仰っていたが
上に作られた人間は往々にして
どこかしらの部分が欠損していることが多い
或いは、その恵まれた人生が故に失ってしまうものがあると思う
彼女の程度の低さもまた
宿命的に差し引かれての物悲しさの一つなのかもしれない


そんな彼女がある日突然、髪の毛を緑色に染めてしまった
僕の心の砂漠にも、漆黒の礼儀のこの国にも存在しない奇抜のグリーン
ショックだ・・・物悲しさの森深く
彼女の特別は埋もれていってしまったように感じた



その時僕は知ったんだ
この世に生きる喜び、そして悲しみのことを