一作

重松清, 哀愁的東京

哀愁的東京 (角川文庫)

哀愁的東京 (角川文庫)

自分の中で別段重松先生ブームが来ているわけではないが
やはり、特有の「人情とは云々」感が若干苦手ではあるが
それでもいい作品だったと思う


家族や仲間、俗世
最後には自分・・・世の中の手綱を失い
手すりすら離してしまったような
孤独な人々の日々と、流れていく時間が降り積もる一作


乖離の街でそれぞれの孤独が
独りで向き合い、終え、解決していくことの未来が
悲しみでもあり
寂しい希望のようにきめ細かく描かれている


フリーライターだった自身を投影した主人公だからこその
他の重松作品とはちょっと違った生身のニュアンスがあった