全て夢だった - 衛星航路

芸術家になるという夢に敗れた青年が
欧州を支配する・・・
変な話、農民から天下人になった豊臣秀吉よりも
とてつもないことをヒトラーは成し遂げたのかもしれない。

第一次世界大戦の敗戦と賠償でボロクソだったドイツを
手法はどうであれ盛り立て駆り立て
再び世界に挑める国に染め上げていったヒトラーに
ナチ党員は夢を託していたのだろう。

人は明確な利益の為だけではなく、夢の為にも戦争をする。

明らかに敗戦濃厚な状況の中で
生き延びることよりも冷静な打開策を探すよりも
夢の最期まで夢を辿り続けるヒトラーや
彼に懸けた党員と家族の姿はあまりに悲しく
そして気高い。

勝者にも敗者にも、被害者にも加害者にとっても
その刹那の悲しみは悲しみという真実でしかない。