熱源と

今日、職場で接客をしていると
一人の御婆さんからいきなり
「私のことを覚えてますか?」と話しかけられた


突然のことで驚いたってのもあって
ちょっとすぐに思い出せなかったのだけど
「あなたには年末にお世話になりました・・・傘のことで」
と言われて思い出した


傘の忘れ物をしたということで来店されたお客様だったのだけど
傘の忘れ物で問い合わせされてくるお客様は大体
「まあ、なかったらいいですよ!」みたいなノリの人が多いのだけど
かなり必死に探していらしたので印象に残ってた



「あの傘は母親の形見でずっと大切だったので、一生懸命探してくれて嬉しかった
一生忘れられないですよ。また来ます」



僕がしたことって、たかが仕事だと思うんですよ
だけど自分は接客に関しては、たとえ仕事だとしてもバイトだとしても
ずっと自分なりの心構えで向き合ってきた


過ぎてしまう自分と相手の時間が重なり合ってる間くらいは
相手に喜んでもらいたい、ここに来てよかったなと
感じてもらいたいと思ってやってきた


お客様の機嫌にも、店の業務体制によっても
一瞬で吹き飛んでしまうような自分の中の意志だったけど
こうやって誰かの大切な何かを守れたこと
笑顔でそれを話してくれているのを目の当たりにすると
報われた・・・というより
僕のほうこそ何かが叶った気がした


久々にリアルで泣きそうになったな



人から見たら無価値のようなものばかりを
意地みたいに抱えてきたような人生だと思ってきたけど
本当は、抱えてきたものに
温められ続けてきた毎日だったのかもしれない