- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2012/07/03
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誰もがオンリーワンで特別な花だと謡われる現在
貸しボート屋の息子として生まれた住田は
シリアスが故に、ただ普通である人生を「普通最高」だと語る
だが、借金まみれで彼をひたすら憎む実の父親を殺害してしまったことから
彼は普通である人生を果たす為に
この世に害を及ぼす人間を殺そうと街を徘徊する・・・
原作の漫画が自分にとって特別な存在であったので
何とも観ることを憚られているうちに上映が終了してしまった
・・・のだが
近所のマニアック映画館が何を思ったか、今更リバイバル上映をやってくださったので
定めにも似た心地で観賞してきた
震災後の世界という原作と違った舞台の設定が
かなり大きかったように思える
原作では自身を突き詰めて自分に追い詰められるが故に
狂気へと尖っていく住田だが
映画では随所に現れる震災、原発の残酷さや愚かさの描写によって
狂気ではなく「切迫」の果てに向かっているように感じる
「それは住田君だけじゃなく被災者大勢の人たちの現在だよ」と
それがラストの大きな改変に繋がることは納得出来るけど
あくまで原作とは別の話で・・・という心地は拭えない
ただ、原作を読んでも映画を観ても思ったのは
例え自分を想ってくれる人、見守ってくれる人たちが居たとしても
住田が抱える孤独はどこまでいっても孤独だということ
作品の中では「一度、ケチのついた人生」という言い方をされてたけど
知ってしまった孤独やシリアスは
魂の名前になり脊髄を作り
一生抱えていかなければいけないものであるということ
そして、それを他人は「あなたは今、病気なの」と判断すること