一作

遠藤周作, 侍

侍 (新潮文庫)

侍 (新潮文庫)

藩主からの命を受けた長谷倉は、エスパニアへの貿易の交渉のために
宣教師のベラスコや同郷の仲間や商人、部下達と大型船で船出する


長く苦しい旅路の中
交渉や商売の為と、仲間たちが次々とキリスト教の洗礼を受けていくが
故郷への想いや、信仰への疑問を抱えた長谷倉は
最後まで思い悩む



その頃、遠く日本では戦国から江戸へと時代が移り行き
幕府は「キリシタン禁制」「鎖国」の政策をとり始める・・・




おくこさんから借りた一作
伊達政宗の家臣、支倉常長がモデルになった作品ですね


映画を見ても、本を読んでも出会う作品全てがバッドエンドばかりという
強烈な引きを持っていた時期に正に読んだ一作なんだけど(笑)


暗かったとか重かったというより、いろいろ残された読後感



歪んだ野心に燃える時も、夢の美しさを主の為に馳せる時も
いついかなる時も信仰と共にある者・・・
疑問や欺瞞で蠢く人間の隙間、その苦しみの中にさえ佇む主に
信仰とは何かを考え続ける者


信じて救われる奇跡が宗教ではなく
いつも共にあるから・・・考え続けることに意味があることが信仰であるという
正義にも悪にも、狡さにもなってない遠藤先生の宗教観の描き方には
いつも果てしないものをただただ残される
どこまでも広がっていく



ちなみにこの本読んでたときは
ずっと部屋でJEFF BUCKLEYのGRACEを流してた


ハレルヤ