美しい名前

美しい名前

美しい名前

「なんかこのパン、カタツムリに見えません?」


「んー、そもそもカタツムリ苦手なんだよなあ。軟体動物」


「昔、私飼ってたんですよカタツムリ!おばあちゃんが大きいの捕まえてくれて」


「へえ」


マイマイ君って名前をつけて可愛がってたんですけど
糞やら食べ残しの野菜の腐臭がすごくてどんどん疎まれるようになって」


「そうか・・・」


「気が付いたら殻を遺して消えてしまってたんです」


「小動物の飼育って簡単そうに思えて難しくてさ
今になってみるとよく親は許してくれたなって思うよね。
あらゆる命の尊さを学んで欲しかったのかな・・・小さき生命だからこそ」


「そうかもしれませんね・・・」


マイマイ君の死も無駄じゃなかったってことだよ」


「あ」


「どうした」


「名前、マイマイ君じゃなかった!デンデン君でした!!」


「・・・酷いね」