光について

光のほうへ [DVD]

光のほうへ [DVD]

邦題、「光のほうへ」なんだが
この作品に光を感じられた人間は
もはや光を見出す素質を持っていると言える。


光とは何だろう?
日常に基いた幸福?降って湧いたラッキー?
地獄の果てに見える光明こそが芸術性を高めるとも思わない。
かといって、「いいことないかなあ」とツイッターに書き込める俗物の希望が
等身大の光なんて思いたくない。



アル中の母に育てられた兄弟が幼き弟を育てるために必死になるが
結果的に、幼さと生活環境が故に死なせることになる。
幼くして心に傷を負った2人のその後の人生のストーリー。


・・・ド真面目が故に暴力的にすらなる兄も
まともに見える生活を手に入れたように見えて薬中の弟も
ずっと何かを埋め合わせられないまま
社会と自分の喪失に呑みこまれていく。


前日分で挙げた「偽わりなき者」の以前
トマス・ヴィンターベア監督が撮った一作。



「偽りなき者」と同じくデンマークで撮られたこの作品は
補填でも全てを満たせない・・・むしろ一般的な基準すら達成できない人間の心と環境を
三周くらい廻った昇華へと導く。