宮本輝, 春の夢
- 作者: 宮本輝
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/05/07
- メディア: 文庫
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そうでない国よりも犯罪率が低いらしい。
それは幼い頃より自分以外の誰かの第二の視点
言わば神様の視点が存在すると教え続けられる為
過ちを犯す際に躊躇ってしまうためとのこと。
下宿している部屋でのちょっとした不慮の事故により
壁に釘で打ち付けてしまったトカゲ。
打ち付けられて尚生き続ける、物言わぬ同居人と過ごすことで
自身と語り続けるように青春に向き合う主人公。
部屋にネズミに侵入された時、この作品を思い出した。
防鼠剤や音波機で鉄壁に近い対処を行ってもう進入は不可になったと思うし
そもそも、壁に穴空けられた以外は明確な被害がなかったので
(食料やコードを齧られるような)
存在自体が空想だったかのようにすら感じる。
むしろ何もしないなら居てくれてもよかった。
第二者の存在である。
僕は「ねえねえネズミ君」と語るような性質でもないけど
孤独、個人が自分に全てを赦すプライベートな時間に
第二者が雑じっていることで感じることはある。
君の前では自分は赦すけど世界は許さないみたいな(笑)
変に面子を保ちたい部分が消えなくなるね。ある種、恋人に近い。
目にしてないし、もう居ないかもしれないネズミ君の視点を時々想像します。
世の中を駆け回ってきた君の目からは
僕はどう見えてるんだい?