神の王国

荻原浩, 砂の王国

砂の王国(上) (講談社文庫)

砂の王国(上) (講談社文庫)

砂の王国(下) (講談社文庫)

砂の王国(下) (講談社文庫)

神は細部に宿ると言っていたのは穂村先生だったか。


存在としての神の定義は難しい・・・というより
世界の終わりの滅亡と救済でも臨まない限り不可能だろう。
ただ、神の存在を証明できなくても
この世は神の仕業で溢れてる。



この作品ではホームレスに身を窶した主人公の山崎が
再起と社会への復讐を企て新興宗教を立ち上げるが
彼の興した紛い物の宗教によって勘違いでも人が救われたことは
やはり神の仕業によるものになる。


精神的に異常をきたしたまま祭り上げられた教祖が
教祖になることで人生の意味を取り戻すこともまた
自身という神からのフィードバックなのか
それすら見ている絶対神からの思し召しなのか。





信じることは罪なのかもしれないが
信じないことが虚無な現代に神は問い続ける。


心と信心を。行為を。