本質を喰うモンスター

スティーブン・ヘレク, ROCK STAR

過去の栄華は派手であればあるほど
引き合いに出しやすい



この映画の最後で、主人公は元バンドのメンバーと再会し
コテコテのハードロックと決別して髪を短く切り
アコースティカリーなパワーバラードを歌い始める


セックスドラッグロックンロールの騒ぎではなく
自分スケールの表現で、地に足がついた音楽性にこそ
僕らの音楽の本質があるっ!



・・・単純に良い話で、その分薄っぺらい
時代の風向きと音楽界の流行りに日和ってますねこれは


様々な感情を受け止められる音楽のレンジの広さは
強さであっても優しさじゃない
それではキレイゴトにし切れない




だからこそこの映画の最大の失敗は
真実を紛れ込ませてしまったことだと思う


頭をワシワシと振り乱し、足を蹴り上げ
叫ぶようなギターを弾くザック・ワイルド
猟銃を片手に余興みたいな演技をしていてもあまりに真実だ


この映画の描きたかった理想の現実さえ茶番にしてしまっている



感傷を今として抱ききれるタイプの音楽はすばらしい
ただ、感傷ごと未来に挑み続けるスターという生き方にも
本当は同じくらいの深みが存在する


それは映画ではなく真実だ