風に舞いあがるビニールシート

森絵都, 風に舞いあがるビニールシート

風に舞いあがるビニールシート

風に舞いあがるビニールシート

森絵都先生の短篇集
おくこさんから借りた一冊


最初の三篇「器を探して」や「犬の散歩」
「守護神」を読んでる時は正直
「これはちょっとおれが読むにはほんわかし過ぎなんじゃないか・・・」
と思っていたけど
後半三篇で思いっきり、見事に引き込まれましたね



仏像への狂気にも似た情熱に
廻り回って人生を変えられた男の話


面白おかしい世代の違いを超え
最後は同じ何かをどこか抱えてきた者同士
明日の野球に想いを馳せる大人二人


難民支援のため異国で亡くなった元夫との
すれ違いや過去の全てを胸に
新たな、本当の一歩を歩むまでの独りの女性の再生



どの話も決してドラマチックではなく
出だしから結末までで変わったことなんて
当人達の胸の内、一欠けら程度なんだけど


自分はこれが読みたかったんだなと思った
・・・というより、これを感じたくて
僕も毎日を大切にしている



読書ではなく体験に近い経験だった
これは前におくこさんの作品について書いたときにも言ったこと
自分が読みたいのはそんな作品
そして、自分が書きたい詞も正にそれ