一作

伊藤たかみ, 指輪をはめたい

指輪を買い、プロポーズを心に決めていた僕だったが
スケートリンクで転んで頭を打った拍子に記憶を失い
プロポーズの相手が誰だったのか解らなくなってしまう


三股の交際を続けていた僕は
プロポーズの相手が誰だったのか確かめるため
もう一度一人一人と向き合い直すが・・・




伊藤先生の作品は日常の一部を切り取ったもの
その中での人の感情の様々や
一つの結論に向けての微妙な心の揺れ動きを書いたものが多いが
この作品はかなりストーリー性の強いものだった
続きが気になってどんどん引き込まれて、2日で読み終えてしまった


映画化するのも解る、今度借りて観てみよう




しょうもないアラサー男を書かせたら伊藤先生の右に出るものはいないと思う
それは「しょうもない」が「酷い」を超えた所で描かれているということ


逃れようがない程大人になってしまったという恐怖と過ぎる諦め
30歳という年齢に問いかけられ続ける日々
それでも捨てきれない、根拠のなさに基づき
突拍子もない展開に期待した希望



「割り切る」にこれ程試され続ける時期って他にないと思う



一通り笑った後に、その無様さが愛しいと思った人は
おれとちょっくら呑みましょうか