ロングディレイ

高校の頃、「急ぐくらいなら遅刻する」の精神で
順当に遅刻を積み重ねてきたおれは
「お前の遅刻数は学校内2位だぞ!」
というありがたいお言葉をいただいたんだが
そんな遅刻ランキングの校内1位は
いつも遅刻電車で鉢合わせるクラスメイトのアラカワ君だった


彼は遅刻するそのたび
宮本武蔵が巌流島に遅れてきた話をしてたな


あの頃、僕たちは誰よりもディレイしていた




全ての残響、遅れやズレのリピートの果てに
発振みたいな人間になってしまったとしても
世の中とジャストタイムのつまらなさを生きていくよりは
全然意味があるだろうと
昔も、今も思ってる



おれは今度こそ1位を取りたい