一作

野口照夫, たとえ世界が終わっても CYCLE SOUL APARTMENT

癌により余命数年と宣告された宮田は
全てに絶望し自殺を考える
そんな時、集団自殺サイトを通して知り合った妙田に
同じように肺癌で余命数年の写真家の長田との偽装結婚
そして保険金詐欺を持ちかけられる


偽装結婚の証拠を残すための写真撮影の旅に出掛ける中
2人は少しずつ理解し合い心を通わせ始めるが・・・




命や限られた愛の感動を解りやすく表現できる
所謂「難病もの」の映画や
明日を生きたくても生きられない人と
今、自殺願望の抱く精神を比べるような命への価値観は
正直、本当に勘弁して欲しいけど
この作品は観てよかったと思えるものだった



俳優全員の演技がとても良い・・・というとそれが大きいのかもしれない
奇妙な倫理観を抱く妙田を演じる大森氏は
あからさまな大げさが故に、繊細に苦しむ人を救えていたように思えたし
固かったり下手に泣きに走らず突き抜けなかったから
芦名嬢の宮田の心の移り変わりは
その度に滲むように心に沁みた


そして、全ての景色や心情の温度を写すような
全ての場面、生きている時間全てが「感動」だと響かせてくれるような
カメラワークと音楽・・・


ベタじゃないと伝えられないこと
それを意味を持って観せてくれた程のこと
この作品に出会えたことは
この一生にとって意味のあることだと思った




命は誰も限られてる
その時間を知っている人こそ輝きや尊さを感じられるのは
皮肉だとしか思えないけど
その純度が捉える眩しさや景色や夢は
遺された人を救うこともある



今や想い出は素晴らしい
未来を切り開くくらいに