一作

遠藤周作, 満潮の時刻

満潮の時刻 (新潮文庫)

満潮の時刻 (新潮文庫)

結核に冒された主人公、明石が
病院での様々な人々との出会いや
生死を彷徨う闘病生活の中で
生きることや死ぬことを
自分の命と宿命にひたすら問い掛けていく話


遠藤先生の自身の肺結核による入院体験を基に書かれた作品らしい



主人公の病状の予期せぬ悪化や確率を掴んだような回復
病院における縁のような出会いや
それさえ何の脈絡もなく引き裂く死という別れ・・・


作中の「人生と生活は違う」という言葉にあるように
生や死は生活の中の意識とは別次元にあって
近くても遠くても容赦ない存在なんだと思い知る


「距離感のある基督教をどうしたら身近なものにできるか」
をテーマに書いている遠藤先生の作品特有の
信仰を問い掛ける部分も垣間見れる