一作

重松清, トワイライト

トワイライト (文春文庫)

トワイライト (文春文庫)

小学生時代に埋めたタイムカプセルを開封する為
26年ぶりに再開した同級生たち
夢も終わり、現実の日々に打ちひしがれ続けながら
人生のトワイライトを生きる彼らは
小学生時代の自分達と、そして時を経て再開したお互いに何を想うのか・・・


おれが最近重松清先生をよく読む一番の理由は
ブックオフで100円で買えるから
どこにもそこそこ在庫があって、急いでいるときなど探す時間がかからないから


毎度書いているように自分は重松先生の書く
「人情とはこういうものだ」と感動させようとするニュアンスがあまり好きじゃない
・・・ただこの作品は良かったというか
押し付けがましかろうとなんだろうと
今の自分は誰かに人情を思い知らされたかったのかもしれない


夢に生きる若さでも、収めていく老いでもなく
ただ毎日を繋いでいくだけの人生の中途半端な時期を重松先生は描くことが多いというか
もはやワンパターンに近いなとさえ思うことはあるけど
作家にしろ唄い手にしろ、一つのテーマや問いかけを繰り返し続けることで
よりその深みを描けたり、真意に近づけるようになったりするのかなとも思った



「誰もみんな大変だ」というありきたりな言葉を
シリアスとして社会と現実に描いたような一作
その現実にこそある幸せに
負け続け、問いかけ続けながら少しづつ触れていくまでの物語



今年読んだ本の中では一番良かった