真空管

おれはみんなを喜ばせるような、躍らせれる音楽は
死ぬまで出来ないと思う
そんなことが出来る人間、性質だったら
今までの人生こんなに苦しくなかっただろうと思うから


そして馴染めなかったり半端にされた記憶が
集団との安易な関わりを嫌悪している



自分の音楽は教室から窓の外ばかりみてるような
醒めて尚、幻想に生きている誰かのためにあると思ってる


レンタルしてアイポッド内の無数の曲の中に紛れるように落としたり
平気で違法ダウンロードする無神経な連中とか社会に向けてではなく


購買のパンを何週間も我慢して
空腹で震える手でCDを手にしてくれる誰か


定期券を買うお金でCDを買ってしまって
豪雨の中を何時間も歩きながら
それでもイヤホンから流れる音に全てを感じていた
あの頃の自分の為に



これからバンドを続けていって
いろんな要因から音楽性が移り変わっていくことがあったとしても
おれがいる以上シリアスを演り続けると思う
いや、それ以外ありえない


喧騒の隙間を駆け抜けられる
切れ味を生きていきたい