ジーク

忙しすぎたのと人が足りなさ過ぎるせいで
昼の11時から23時まで立ちっぱなし歩きっぱなしで
1秒たりとも休めなくて
座れなかった


まあそんなもんだろう



人並み以上に働いていると思う
まともに職に就いている方々を大きく凌駕するくらいに
眠る時間なんてあってないようなくらいに
常に体に無理が生じるくらいに


それでどこか、何か証明したかったんだと
どんな場面でも通用する言い分になると思ってた



でも違ったんだと気付いた
おれたちと向こう側の普通の人間は
景色や未来の見え方が違う
何かを諦めたり、思い知って臨んだ人間の日々と
どんなに崇高でも全ての瞬間がインスタントなおれたちとは
根本的にその語り口が違ってくる


それが現実で、現実に通用するのは
対価か結果か
結果が約束された現実だ



何も語れないなと思う
笑えないし勇めない
黙ってその一ミリの隙間を
命がけで抜けていくしかない



おれは自分が
向こう側で幸せになりたかったんだと気付いた