ささやかな喜びをつぶれるほど抱きしめて

チェリー

チェリー

職場でその日レジを担当するメンバーが僕を含め全員ズラッと眼鏡をかけていた。
確率で言ったらどのくらいだろう。地球と土星と何かが一直線になるくらいだろうか。重力が何グラムか歪むくらいか宇宙的に。


集まったからと言って僕らは円卓の騎士にはなれないし、シェンロンを呼び出すこともできない。でも束の間、眼鏡屋さん体験が出来る。お客様も疑似眼鏡屋来店しちゃってるんだろうきっと。
ここは君だけのパリミキでメガワールドさ。ゾフでもいいけど近眼過ぎると結局高いぞ。



あの日、あの秋。僕らは確かに眼鏡屋さんだったんだ。



昂りよ想い出を突き抜けろ。パン屋のままで全てに届いたかのように。