叶わなかった恋に意味はあるのか

Place~

Place~

「別れる相手の幸せを願うとかありえないよね。それってもう好きじゃないってことだよね」



仕事中にタッグを組んでいた相手が語る。



「そうなると付き合っている状態、或いは結婚しているか、もしくは絶対に別れないと言い張っている状態にしか相手を好きという気持ちは存在できないんですか?



じゃあ叶わなかった恋はその人のことを好きじゃなくならないと終わらないんですかね?恋の終わりは必ずしも好きの終わりですか?

これでよかったと今までの全てを肯定できたからこそ生まれる区切りみたいな失恋もあると僕は思うんですが」





窯の中のパンは小麦から小麦粉へ小麦粉から生地へ、生地からパンへと移り変わり続け、それを肯定し食した誰かの人生は続く。





移り変わりとあの時の僕をちゃんと定義してくれたのは、未来の肯定だった。静かな願いだった。