笑って生涯暮らせたなら僕らはもう最高に不幸だ

WORST CRIME

WORST CRIME

休日の駅のデッキで2人組みのおば様が
「最高!!最高っ!!!」
と踊りながら叫んでいた。


これは何なのだろうか?


かつて最高ですか?的なスローガンで有名になった(問題になった)
例の宗教の方々なのか、もしくはもっと最高を感じる人たちなのか。
そもそも実際何が最高なのかわからない。


そんな僕らの声を代弁するかのように
側を通行する老夫婦の婦人が聞く「何が最高なの?」


「最高じゃないですか!何もかも!!みなさんも最高と叫びましょう!!!」



なるほど理解した。全ては最高だと、僕も思う。



多分、彼女達は力づくの次元で最高に幸せなんだろうし
それを訊ねた婦人は最高に意味がわからない。
そして僕は最高に傍観者。


最高に高みを求める人と最高に普通でいい人と
最高に基準を憎む人で
世界は最高に帳尻が合わないまま廻り続けて
最高に殺しあったり助け合ったり
最高に愛し合った後、最高の未来を求めて決別したりする。


後にも先にもない最高の日曜日を
最高に食い散らかしたり丸呑みにしたり
最高に、夢見たりする。


あそこに歩いてるのは最高に犬で
猫は最高にずっと猫だ。


感情も存在もただこの今を最高として駆け抜ける。
それほどに刹那は何もかもに焼付けられる。



でも、その真理に触れているなら駅前で踊ってる場合じゃない。