欠片の全て

音速ライン, ナツメ

100景

100景

職場の某同僚が(一応名前は伏せておきます)
幼い頃、海外に住んでいてそこの日本人小学校に通っていたとのこと。


学校には日本全国から移住してきた子供達が集って生活していたのだけど
卒業する日、担任の先生が一枚の大きな絵を切って
その欠片の一つひとつを一人ひとりに手渡して
20年後の再会、欠片の再びの集結・・・もう一度の絵の完成を
みんなと約束したらしい。



僕はこの話を聞いた時、何ていい話なんだろうと思ったし
未来に夢を託す先生の約束はそれぞれのそれから
これまでに、ずっと何かを残してくれたんじゃないのかなと思った。


そんな彼女はつい先日、20年ぶりの同窓会に出席してきたんだが・・・


絵の欠片を持ってきたのは数十人のうち彼女一人で
会場からは「懐かしいね!」「そんなのあったね!」という声が上がったとのこと。


しかも、その再会を提案した先生は連絡がとれずに出席すらしてなかったらしい。



うつくしさ、現実に負けすぎである。
もしくは自分が負けない為に捨ててきたのかもしれない。



この話は仕事中に聞いていたので、彼女がどんな胸中・・・どこまでのことを
思っていたのか察し切れなかったけど
全然他人の僕はこの事を結構引き摺った(笑)



それでも、集えなかった尊さは一つの欠片に集約されたのだと
思いたい僕は感情はこの先も負け続けるのだろうか。



元々、一枚の絵だったように思えるよ。何もかもは。