凶悪

白石和彌, 凶悪

凶悪 [DVD]

凶悪 [DVD]

比べられる対象に出会っていくほど
感情は大きく育っていくもの。
得ても得ても満足に辿り着けないように
人の闇を知れば知るほど
どこまでも奥深い悪に囚われていく。



死刑囚が次々に告白する余罪を追ううちに
ジャーナリストは全てを明るみに出し、裁きたいという感情に取り憑かれ
底知れぬ悪意と暴力の世界にどんどん足を踏み入れていく。


こんなに後味の悪い作品久しぶりに観た。
でも、自分も解るから味わえてしまったように思える。


「知ってしまった」主人公の心の尖っていく様と
それが故に見失っていく日常の善悪や平静のアンバランスさが
正しいのか守りきれてないのかわからなくなってくる。


あらゆるレビューに書いてあった「人の二面性」というよりは
僕は「知ってしまう」という怖さをこの作品に見た。