明日の記憶

荻原浩, 明日の記憶

明日の記憶 (光文社文庫)

明日の記憶 (光文社文庫)

人は生き続けるほどに
本質から遠ざかってしまう生き物なのかもしれない



若年性アルツハイマーで記憶を失くし続け、精神が退行するほどに
甦る過去の想い出や
複雑さの解けていくような感情に
まるで少しずつ何かを・・・本質を
取り戻しているようにも見える主人公は
病という絶対的な悲劇の中で
ある種、救われているように思える


ただし、「思える」



完治や改善の難しい病と向き合うことは
現実的に答えがないので難しくて
最終的には本人と周りの人の事実の受け止め方
推移と未来の捉え方次第になってくる


その次元においてはきれいごとは
確実に現実に意味を持って作用している、間違いなく


救いは、神はそれぞれの内に存在する