火星人同士

The Mars Volta, Cygnus...Vismund Cygnus

Frances the Mute

Frances the Mute

デジャヴとか既視感じゃない
風の匂いとか、それに混じって吹き込んでくる
砂の味さえ自覚できる


カート・コバーンの生まれ変わりだ」と自称する人が
カートの生存時から誕生していた時から
転生を口にすることの馬鹿馬鹿しさは重々承知していた


でも、この気持ちは何だろう
故郷にすら思い入れを持てなかった自分が
今更温かい気持ちに包まれている
まるで寝坊してしまった朝の羽毛布団の中のような



宇宙博の火星のエリアで僕は立ち尽くしていた


星を超えた転生は現実問題とは別の次元の
まるでロマンのようだ・・・そして鮮やかな現代の現実を超えられるのは
もはや浪漫以外にあり得ない



放心の如く想像に取り憑かれていた僕は
隣で同じように放心状態の少女に気付く



「もしかして、君も元火星人かい?」






「・・・そうして僕達は宇宙博の火星エリアで知り合ったんですよ!」


という関係性でいこうと思ってたのに
店長が早々に「タカちゃんが違う職場で一緒に働いてる子を紹介してくれたんだよ〜」と
ネタバレしてくださったので台無しだわ


いや・・・同じ職場だったけど元火星人同士もありなのか
巡り合い過ぎだが